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ソウルで見つけた“世を耕す人々と本たち”

韓国といえばここ10年は実際足を運ぶのは済州島だったし視ているのも済州島だったが、このたび久しぶりに非常戒厳令1年後のソウルに行って来た。

10月のある日、ソウルからソンミサン学校(オルタナティブスクール)の学生と引率者8人の訪問があった。友人に通訳をお願いし3時間くらいサゴリ(交差点)したのだが、驚いたのが訪問地は広島だけで10日間滞在中なのだということ。広島には受け入れ先なしでやってきて、毎日昼間はフィールドワーク、夜は「平和」についてのディスカッションで過ごし、明日帰国するのだという。ウ、ウッ。日本人との交流は滞在中初めてであり「とてもいい時間でした」と言い置いて、秋の夕暮れどき最後の夕食とディスカッションのため坂を下りる8人を見送った。

ソンミサン学校は麻浦区ソンミサン・マウル(町・村)にある。そもそも街づくりのきっかけは共同保育所作り(1994年)であり、その後「山を守る運動」や生活協同組合づくりをともにすることで「ソンミサン・コミュニティ」ができあがり学校(2005年)までも誕生させた。現在は小学生から高校まで90人の子どもたちが集うという。

わたしが訪れたのは12月25日。夜にもかかわらず2025年終了行事でたくさんの人が学校に集っていて、広島に来ていた学生3人が案内をしてくれた。夕食をともにし学生たちの発表会を楽しみながら、ソンミサン学校は、確かにオルタナティブだと確信した。ことにトイレが男女別ではないこと。今年からだそうだ。その1年前にある人から提案があり、1年間学生らが議論をしたうえでの実践だという。案内してくれた学生に感想を聞くと「最初は不便かなあと思ったがそうでもなかったので受け入れている」と応えてくれた。

 上:ソンミサン学校/中:マンウォン市場にある「小さな図書館」/下:地下鉄駅一隅にある本棚

 資料室サゴリを運営するようになって、街に書店や図書館や資料室や博物館や歴史館があることでもたらされている、意識はされてはいないがある種の“安心感”を感じるようになった。言葉にしえない不穏な世界を孕んでしまった感覚を「どうすればいいのか」わからないまま街をさまよっているとき、「小さな図書館」(写真中)や自由に交換できる「地下鉄の本棚」(右写真)に出会うと、ちゃんと呼吸できるような気になって、ほっとする。誰かが言っていた。「本は世を耕す」と。不穏な世界であったとしても地にはソンミ学校があり、本がある。そうだ、人や言葉が世を耕しつなぐ日々があることを忘れずにいよう。

 最近、サゴリ訪問者に「街に資料室を!」と呼びかけている。